麻見和史です。5月1日、懸案のカード切り替えを行うため、国立国会図書館に行ってきました。
これまでのあらすじは[国立国会図書館・カード切り替え(1) 準備編]をご覧ください。思い切り無駄なことをしてしまった私だ。
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◆カード切り替えの実際
行く前、国立国会図書館のサイトを見たら、こんなことが書いてあった。
《特に、今年の大型連休中の東京本館の開館日(5月1日(月)、2日(火))は、非常に多くの方が来館し、利用者登録に相当の時間のかかることが予想されます》
はたしてどれくらい時間がかかるのだろう。目安だけでも書いておいてくれればいいのだが、残念ながら見当たらない。不安。
現地到着は13時ごろになった。
カードの申し込み窓口は新館2階ロビーに設けられていた。コインロッカー室の手前、普段は椅子が置いてある辺りだ。
入ってみて驚いた。ざっと見て50~60人は並んでいるではないか。貼り紙には《20分待ち》と書かれているが、本当だろうかと疑ってしまう状態。
職員の方に訊いたら、新規登録と切り替えは窓口が分かれているそうだ。切り替えのほうは誰も並んでいない。助かった。
申し込み用紙に必要事項を記入し、旧カードを渡して身分証明書を提示するだけだった。処理は2分ほどで終わった。なあんだ。いろいろ心配して損をした。
サイトに「カード切り替えの方は新規登録の方より早く処理できます」とひとこと書いておいてくれたら親切だったのに、と思った。
ところで、切り替えの場合、旧カードに対応する新カードをどのように準備しているのか気になっていた。いつ来るかわからないのに(もしかしたら切り替えに来ないかもしれないのに)、すべての番号のカードを用意しているとは思えない。
おそらく別の番号に替わるのだろうと思っていたら、違っていた。白いカードを用意しておいて、その場でIDと氏名を表面に印刷する仕組みだったのだ。ICカードだから、同時に利用者情報も中にセットしたと思われる。
従来、登録利用者カードを持っていても、その日に使うカードの発行が必要だったが、新システムでは一枚のカードに統合されたという。出入りするときも、パソコンで検索するときも同じカードでOK。
◆検索システムが変わった
中に入り、早速パソコンで資料を検索したのだが、画面がすっかり変わっていて違和感がある。資料を表示させたはいいが、利用申し込みの方法がわからない。
じつはキーボードのそばに手順表が置いてあるのだが、以前から利用している人は誰も見ちゃいないのだった。みな直感で操作しようとして、しかしうまくいかないため困った顔をしている。説明のための職員配置がやや手薄だと感じた。
[東京:本館書庫]という項目をクリックすると利用申し込みができる画面に替わるのだが、直感でこれがわかる人は少ないと思う。誰でも、検索したら次は利用申し込みをしたいわけで、その流れを考えていないこの画面設計は、不親切なものだと言わざるを得ない。
また、初期画面から申し込み状況を見たとき、すでに到着しているものしか表示されないのは不便だと感じる。ほかに何を申し込んでいるかわからないのだ。それでいて、すでに受け取ってしまった資料は表示が残っている。なんというか、中途半端な仕様と思えて仕方がない。
◆電光掲示板の廃止
資料を待つ段階で大きく変わったのは、資料到着を示す電光掲示板が廃止されたことだ。利用者はみなパソコンで、自分の資料が来たかどうかチェックしなければならない。手間といえば手間である。
「いちいちログインするのは面倒だ」というクレームに対応するためか、到着だけをチェックする専用端末が用意されていた。カードをセットすると到着済み資料が表示される仕組みで、そうか初期画面の中途半端な申し込み状況確認アプリはここで使われているのだなと想像がついた。
◆貸出履歴が保存される
さて、ここから少し込み入った話になる。
新システムで便利になったのはNDL-OPACに「マイリスト」という機能が出来たことだ。検索した資料を記録しておけるというもので、「この前読んだあの本何だっけ」とか「今は誰かが利用しているが、今度来たとき読もう」などという場合、メモ帳代わりに情報を記録しておけるのだ。なかなかいいな、と思って何冊かリスト登録しておいた。
しかし、帰宅後自宅PCからNDL-OPACを使ってみて驚いた。
てっきり、マイリストはICカードに保存されていると思っていたが、じつは国会図書館のサーバーに記録されていたのである(自宅からはICカードを使わずにログインできる)。
また「申込状況・利用者情報」の中にはなんと「貸出履歴」という項目があり、過去1カ月分または100件分まで履歴が表示されるという。さらに「検索履歴」なんていうものまであって衝撃を受けた。
こういったデータがすべて国会図書館に保存されているかと思うと、心配性の私としてはちょっと不安になってくる。
このへんどうなんだろうと思って国会図書館サイトを見てみた。「新サービスに対するご質問・ご指摘について」という一覧表があって、利用者から寄せられた質問・指摘に国会図書館が回答しているのだが、情報保存については「個人情報保護に不安を感じる」という項目があるだけだ。
この質問への回答に「個人情報」という言葉は出てくるが、「貸出履歴」については触れられていない。私が気にしすぎなのだろうか。
以上、込み入った話、終わり。
◆カードに記されたもの
もうひとつ気になったことがあるので書いておこう。
国会図書館での資料検索にはICカードを使うわけだが、表の面には利用者番号と氏名がしっかり印刷されている。何も意識しない場合、利用者は「カードの表が自分に見えるように」リーダーにセットすると思う。そうすると、隣にいる人やうしろを通りかかった人に氏名を見られてしまうおそれがある。
私は心配性なので、名前を見られないよう裏の面を手前にして、カードをセットしていた。
別にたいしたことないだろうと言われそうだが、最近は凶悪なストーカー事件なども発生している。もしかしたら、名前を知ったことがきっかけで、相手に特別な感情を抱いてしまう男性がいるかもしれない。女性の方は注意なさったほうがいいと思います。
とまあ、なんだかケチをつけてばかりですみません。国会図書館にはいろいろ期待しているので、つい細かいことまで言ってしまう。
新館長のもと、職員の方々にはこれからも頑張っていただきたいと思います。
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この日の昼食について。
3階のいつもの喫茶店に行ったらランチがなかったので、久しぶりに上の食堂に行ってみた。
国会丼、500円。
ご飯の上にカレーと牛丼の具、温泉玉子が載っている。
新国会丼は調理時間が長いが、国会丼は早いよ!
こちらは天ざる、500円。
夏を感じさせます。
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