麻見和史です。ドラマ『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』(2019/10/6~11/13)をご覧いただきました皆様、お忙しいなか、本当にありがとうございました。
22時30分からの放送が終わったあと、毎回23時過ぎから「原作者コメント」をツイートしていました(第2話のみ、台風の影響で第3話とあわせてツイート)。
以下、その内容をまとめておきますので、番組を振り返りながらお読みいただければと思います。
========================================================
『悪の波動』について
========================================================
WOWOWでは2015年に『石の繭 殺人分析班』が、2016年に『水晶の鼓動 殺人分析班』が放送されました。いずれも麻見和史の〈警視庁殺人分析班〉シリーズ(講談社文庫)を原作としたものです。
『石の繭 警視庁殺人分析班』紹介ページ
『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』紹介ページ
今回スピンオフという形で、『悪の波動』が製作されました。
========================================================
原作者コメント
========================================================
◆第1話
ドラマ『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』第1話をご覧いただいた皆様、お忙しいなか本当にありがとうございました。ここから原作者コメントを少し書かせていただきます。本作についてのネタバレはありません。
--------------------
原作者コメント・第1話(1)。『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』はドラマ『石の繭 殺人分析班』(2015年)、『水晶の鼓動 殺人分析班』(2016年)に登場したトレミーという人物を主人公としたドラマです。製作されることになった経緯を簡単に説明しますと……。
--------------------
原作者コメント・第1話(2)。ドラマ『石の繭』のトレミーが非常に印象的なキャラクターだったため、続編でも登場させたいですね、という話になりました。『水晶の鼓動』の原作にトレミーは出てこないのですが、設定を追加し、ドラマに再登場する形になりました。
--------------------
原作者コメント・第1話(3)。さらに『水晶の鼓動』のあと、トレミーを主人公にしたドラマを作りたいですね、という話になりました。そういう小説を私は書いていなかったため、『石の繭 警視庁殺人分析班』を原作と位置づけ、脚本を書いていただくことになりました。
--------------------
原作者コメント・第1話(4)。ちなみに古川雄輝さん自身もトレミーに思い入れがある、とインタビューで話してくださっていました。原作者の私も、古川さんが演じるトレミーをもっと見たいと思っていましたから、ドラマの企画を聞いたときには本当に嬉しく思いました。
--------------------
原作者コメント・第1話(5)。では第1話を見ていきます(ネタバレはありません)。『悪の波動』は『石の繭』事件が起こる前を描いており、後にトレミーとなる人物は野木直哉と名乗っています。冒頭の廃墟シーンで登場した古川雄輝さん、立ち姿が本当に美しいですね。
--------------------
原作者コメント・第1話(6)。この廃墟、とてもいい雰囲気ですね。監督の内片輝さんはロケ地にかなりこだわる方のようです。そういえば『石の繭』のカフェとか『水晶の鼓動』の古いアパートもよかったですよね。ああいう場所を探すのは大変かもしれませんが……。
--------------------
原作者コメント・第1話(7)。野木が大事にしているノート。『石の繭』をご覧になった方はあのノートをご存じですよね。かなり個性的な字が書かれていて、彼の心理を垣間見ることができます。食事の仕方なども独特。これは育った環境によるものなのか、それとも……。
--------------------
原作者コメント・第1話(8)。野木と同じアパートに住む浅田吉佳を演じるのはSUMIREさんです。独特の雰囲気を持つ女優さんで、感情をぐっと抑えた演技なのですが、ときどきはっとするような可憐さ、美しさを見せてくれます。これは天性の才能ではないかと思います。
--------------------
原作者コメント・第1話(9)。一方、首くくり殺人の犯人を探していく井口智一。演じる池田鉄洋さんはこれまで個性的な役柄が多かった方ですが、このドラマではベテラン刑事として執念の捜査を見せてくれそうです。迫力ある演技が期待できるのではないでしょうか。
--------------------
原作者コメント・第1話(10)。そして井口の相棒の矢島啓介。演じるのは「ふっか」こと深澤辰哉さん(Snow Man/ジャニーズJr.)です。試写会で池田さんからふっかさんへの想いが語られましたが、私も同じ感想を抱きました。深澤さんの刑事役、とてもいいと思います。
--------------------
原作者コメント・第1話(11)。経験を積むことで俳優さんは演技を磨いていきますが、逆に自然体で演じるのが魅力になるケースもあると思うのです。それが今回のふっかさんではないかと。新人刑事の生真面目さがうまく表現されています。池田さんとのコンビもいい感じ。
--------------------
原作者コメント・第1話(12)。ここでもう一人重要な人物が登場。吉佳の兄・浅田剛志です。平埜生成さんの圧倒的な存在感! ふっかさんとは逆に、過剰なまでに演技を重ねることで、凄みのあるリアリティを表現しているのではないかと。ほんと、お兄ちゃん怖いです。
--------------------
原作者コメント・第1話(13)。ということで、役者は揃ったようです。はたして野木はこれからどう行動するのか? 浅田吉佳や剛志との関係は? そして捜査本部の井口と矢島は、どのような形で事件の真相に迫っていくのでしょうか。第2話もぜひご期待ください!
--------------------
原作者コメント・第1話(14)。『石の繭』の刊行は2011年でしたが、まさかトレミー主演のドラマが出来るとは思っていませんでした。古川さんがキャラクターに命を吹き込んでくださったおかげです。応援してくださった視聴者様、読者様にも心よりお礼を申し上げます。
--------------------
原作者コメント・第1話(15)。恐縮ですが最後に宣伝させてください。原作となる「警視庁殺人分析班」シリーズには『石の繭』『水晶の鼓動』がありますが、11月に放送される『蝶の力学』とあわせて三冊、ドラマビジュアル帯の付いた文庫本がまもなく発売されます。
--------------------
原作者コメント・第1話(16)。『石の繭』『水晶の鼓動』『蝶の力学』のドラマビジュアル帯には『悪の波動』の写真も載っています。野木直哉の孤独感を見事に表現した、古川雄輝さんならではの写真です。ぜひ書店でお手に取ってご覧ください。
--------------------
原作者コメント・第1話(17)。以上、『悪の波動』第1話に関する原作者コメントでした。それでは皆様、来週もどうぞよろしくお願いいたします。時節柄、体調を崩されませんようどうかご自愛ください。
--------------------
皆様、いいねやリツイートどうもありがとうございます。おかげさまで現在『悪の波動』祭りとなっております。このあとリプライにお返事書かせていただきますので、少々お時間いただけましたら幸いです。
--------------------
『悪の波動』関連でいただいたリプライにお返事させていただきました。入念にチェックしましたが、万一お返事が漏れていましたら申し訳ございません。ではそろそろビールをいただきます。
--------------------
あっ、ツイッターのトレンドに「#悪の波動」って出てるんですがこれ本当ですか? ポケモンのほうじゃないですよね?
--------------------------------------------------------
◆第2話
台風の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。本日『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』第2話が放送されましたが、原作者コメントは次週10月20日に、第3話コメントとあわせてツイートさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
--------------------
台風の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。初回放送時には控えておりましたが、『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』第2話の原作者コメントを書かせていただきます。なお、ネタバレはありません。
--------------------
原作者コメント・第2話(1)。冒頭から緊張感のある展開です。この首くくり事件ですが、第1話が始まった時点で、被害者の女性(コンビニに立ち寄った人)は三人目の被害者でした。女性ばかりを狙う連続殺人ということもあり、捜査本部に焦りの色がみられます。
--------------------
原作者コメント・第2話(2)。首くくり事件は神奈川県警が捜査しています(『石の繭』は警視庁)。「ふっか」こと深澤辰哉さんが演じる矢島は所轄の刑事、井口(池田鉄洋さん)は県警本部捜査一課の刑事です。前からずっとコンビを組んでいたわけではないんですよね。
--------------------
原作者コメント・第2話(3)。凶悪事件に慣れているので、一般には捜査一課の刑事が所轄の刑事を引っ張っていくようです。また、年上ということもあって、このコンビでは井口がリーダー。ふっかさんは若いので、井口から捜査方法などを教わっているものと思われます。
--------------------
原作者コメント・第2話(4)。任意同行を求めて署で事情を聴く場面。警察としては自供を引き出したいところなので「もうこんなに情報を集めているんだぞ」と相手にプレッシャーをかけていきます。供述に何か矛盾が出てくれば、そこを中心に攻めようという考え。
--------------------
原作者コメント・第2話(5)。古川雄輝さんとふっかさん、二人のシーンはかなり貴重ではないでしょうか。苦しそうな古川さんに同情したくなりますが、ふっかさんは刑事としての立場上、水を飲ませることしかできません。二人の優れた演技が緊張感を盛り上げています。
--------------------
原作者コメント・第2話(6)。井口はかなり焦っていて上司と対立しています。そこへ現れたふっかさん。先輩や上司の顔色をうかがう演技にリアリティがあります。あの雰囲気の中では、野木のこと、ちょっと言い出しにくいですよね。新人刑事の苦労が感じられます。
--------------------
原作者コメント・第2話(7)。続いて野木直哉(古川雄輝さん)の自宅シーン。注目したいのは、彼が寝袋を使っていることです。冷蔵庫の中もあんなふうだし、生活感がないというのがこの部屋の特徴ですね。過去、育ってきた環境のせいで野木はこうなったのでしょうか。
--------------------
原作者コメント・第2話(8)。静かな室内で浅田吉佳(SUMIREさん)とのやりとりが……。弱っている野木にとって、これは避けたい状況だったでしょう。焦りを見せる古川雄輝さんの演技が光っています。心の中で嵐が吹き荒れている。そんな状況が伝わってきます。
--------------------
原作者コメント・第2話(9)。野木と吉佳が歩く場面、ここはすごくいいですね。このときの野木の表情は、古川雄輝さんが以前インタビューで話していたものでしょう。野木は本当に複雑な人物ですので、撮影では難しい演技が要求されたのではないかと思います。
--------------------
原作者コメント・第2話(10)。次回は折り返し点となる第3話。野木がこれからどんな行動をとるのか、まだまだ予想がつかないところです。事件の真相を推理しつつ、第3話を楽しみにお待ちください。
--------------------------------------------------------
◆第3話
続きまして……。ドラマ『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』第3話をご覧いただいた皆様、どうもありがとうございました。ここから原作者コメント第3話分を書かせていただきます。なお、本作についてのネタバレはありません。
--------------------
原作者コメント・第3話(1)。花の話が出るシーン。このへんは脚本の技術が光っています。『石の繭』のエピソードを取れ入れ、登場人物の心情に重ね合わせる演出も見事。携帯電話もうまく使われていますよね。野木はスマホを使わない、という設定だと思います。
--------------------
原作者コメント・第3話(2)。捜査方針に井口(池田鉄洋さん)は不満そう。同僚の田端刑事を演じる阿南健治さんはもと東京サンシャインボーイズの方です。昔のことですが、シアタートップスの階段で当日券の列に並んだことを思い出します。何もかもみな懐かしい……。
--------------------
原作者コメント・第3話(3)。未練がありそうな井口に対して、矢島刑事(「ふっか」こと深澤辰哉さん)が意見を述べるシーン。今までふっかさんは井口に遠慮している感じでしたが、ここで正論を口にします。こうした人間関係の変化は、見ていてとても面白いですよね。
--------------------
原作者コメント・第3話(4)。一方、野木(古川雄輝さん)の人間関係にも変化が……。買い物と、それに続くシーンが印象的でした。古川さんもSUMIREさんもかなり抑えた演技をしていますが、それがとても自然に感じられます。はかない感じのSUMIREさん、いいですよね。
--------------------
原作者コメント・第3話(5)。買い物→調理→食事という展開において、吉佳はいわば主導権を握っていると言えます。また、箸に関する話などもあって、なんだか吉佳がお姉さんっぽく見えてきます(服装にも注目)。第3話のここは、記憶に残る名シーンだと思います。
--------------------
原作者コメント・第3話(6)。そして浅田剛志(平埜生成さん)の演技がまたしてもすばらしい! まさに怪演。悪は悪でも、規格外の悪というべきでしょうか。こういう人を前にしたとき、私たちはどうしても萎縮してしまいますよね。お兄ちゃん、本当に怖いです……。
--------------------
原作者コメント・第3話(7)。ネタバレになるため詳しくは書けませんが、3話終盤の展開がすごいです。カットバックで描かれるもう一方のシーンもいいですね。サスペンスを盛り上げる手際は見事だと感じました。ロケ地も魅力的で、探すのが大変だったのではないかと。
--------------------
原作者コメント・第3話(8)。さあ、こうなってくると次回の展開がまったく予想できません。古川雄輝さんはどう行動するのか。池田鉄洋さん、深澤辰哉さんは真相に迫れるのか。可憐なSUMIREさんは事件とどう関わるのか。皆様、次回第4話を楽しみにお待ちください。
--------------------
原作者コメント・第3話(9)。恐縮ですが最後に宣伝させてください。原作となる「警視庁殺人分析班」シリーズには『石の繭』『水晶の鼓動』がありますが、11月に放送される『蝶の力学』とあわせて三冊、ドラマビジュアル帯の付いた文庫本が発売されます。
--------------------
原作者コメント・第3話(10)。古川雄輝さんの帯が付く本は4点。『石の繭』『水晶の鼓動』『蝶の力学』(講談社文庫)、『天空の鏡』(講談社ノベルス)です。いずれも裏側になります。文庫は付いていない場合もありますが、『天空の鏡』にはドラマ帯が必ず付いています。
--------------------
原作者コメント・第3話(11)。以上、『悪の波動』第3話に関する原作者コメントでした。それでは皆様、来週もどうぞよろしくお願いいたします。
--------------------------------------------------------
◆関連記事
ドラマ 『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』 関連(3) 原作者コメント(第4話~最終話)
[最新の記事はこちら]
[これまでの記事はこちら]