ドラマ 『未解決の女 警視庁文書捜査官』 関連(9) 原作者コメント・第4話~最終回
麻見和史です。過去の日記を見直していたら、2018年4月~6月に放送されたドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』の原作者コメント、4~8話をまとめ忘れていたことに気づきました。なんと発覚まで1年以上……。まことに申し訳ございません。今さらですが、以下にまとめておきます。
これらはツイッター に書いた原作者コメント(感想)です(一部修正あり)。基本的にネタバレはありません。
◆第四話
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原作者コメント・第四話(1)。『未解決の女』は『警視庁文書捜査官』(角川文庫)を原作とした連続ドラマです。今回もドラマオリジナルの事件が描かれました。ゲストは真飛聖さん、堀部圭亮さん、吉井怜さんら。今日は藤田里美役・真飛聖さんの演技が印象に残りました。
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原作者コメント・第四話(2)。いつものように過去の事件と現在の事件が関係してくる構造ですが、今回は過去の事件がかなり不可解なものとなっています。家族とともに祭りに出かけた主婦が、まるで神隠しにあったかのように消えてしまったという事件です。
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原作者コメント・第四話(3)。15年の月日が経って、当然里美はもう死亡しているだろうと誰もが考えているわけですが、今になって、もしかして生きているのではないか? と思われる物証が出てきます。過去と現在の事件をつなぐ方法がとてもスムーズだと感じました。
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原作者コメント・第四話(4)。とにかく真飛聖さんがすばらしかったと思います。真相がわかったあと「本当にその方法しかなかったのか」と疑問に感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、そういう割り切れない思いも含めて、見事な演技を見せてくださっていました。
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原作者コメント・第四話(5)。今回、古賀室長が登場するシーンで何度か笑ってしまいました。最初は威厳を持っていた古賀も、朋や理沙のペースに巻き込まれてきたのかもしれません。今後は古賀が理沙とともに推理する、などという展開にも期待したいところです。
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原作者コメント・第四話(6)。高田純次さん演じる財津係長のアラームは毎回楽しいですね。ドラマで彼は恐妻家という設定ですが、財津家の食卓がどんなふうになっているのか、ちょっと見てみたい気がします。じつは財津さん、ものすごく料理がうまかったりして……。
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◆第五話
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原作者コメント・第五話(1)。『未解決の女』は『警視庁文書捜査官』(角川文庫)を原作とした連続ドラマです。今回もドラマオリジナルの事件が描かれました。ゲストは宮迫博之さん、植草克秀さんら。兄弟を演じたこのおふたりの「光」と「影」がとても印象的でした。
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原作者コメント・第五話(2)。私に兄弟はいないのですが、兄と弟というのはやはり互いに意識し合い、牽制し合って成長していくものなのだろうな、と感じました。特にこのドラマではふたりとも外科医ですから、それぞれ技術を競ってきたのではないかと思います。
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原作者コメント・第五話(3)。本来なら兄弟で次の院長・副院長という形でもよかったのではないか、という気もします。ですがお父さんも兄(植草さん)もそうしなかった。弟(宮迫さん)は「出ていけ」と言われてしまったわけです。これは感情的なしこりを残しますよね。
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原作者コメント・第五話(4)。今回は事件以外でも俳優さんたちの演技が楽しめました。朋が結婚するのかと動揺する岡部。財津もびっくりしていました。草加は……感情が読みにくいですね。理沙は昔「恋がしたい」と言っていましたから、恋愛には意外と興味があるのかも。
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原作者コメント・第五話(5)。あらためて思いましたが、川奈部役の光石研さん、草加役の遠藤憲一さんはすごいですね。せりふに淀みがなく、見ていてとても自然です。あれだけのせりふを覚えるのは大変でしょうが、その苦労を感じさせないところがまたすごいと思います。
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原作者コメント・第五話(6)。その他。まさか文書捜査官でゲバ字が出てくるとは思いませんでした。私の世代でもリアルに見たことはほとんどないので、理沙はいったい何歳なんだろうと思ってしまいましたが、彼女は文字フェチだから知っていたということですよね。
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◆第六話
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原作者コメント・第六話(1)。『未解決の女』は『警視庁文書捜査官』(角川文庫)を原作とした連続ドラマです。今回もドラマオリジナルの事件が描かれました。ゲストは柳下大さん、板野友美さん、桐山漣さん、榊原徹士さん、入山法子さん、マギーさんら。豪華です。
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原作者コメント・第六話(2)。今回は同級生たちが事件に巻き込まれるという展開で、朋の心の揺れがよく出ていたと思います。ストーリー上、コメディー要素は控えめとなり、落ち着きのある行動と真剣さが目立ちました。こういう矢代朋も、私は好きです。
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原作者コメント・第六話(3)。SNSに書き込まれた文章の謎は、かなり難易度の高いものでした。実際のところ、メールやダイレクトメッセージ的なものでやりとりしたほうが安全でしょうが、その人物はスリルを味わい、優越感に浸りたかったのかもしれません。
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原作者コメント・第六話(4)。今回は朋がおとなしかったせいで先輩たちにもスポットライトが当たっていました。特に草加の台詞がよかったと思います。寡黙な彼がああいう形で心情を明かすとは予想外でした。それで踏ん切りがついたのか、理沙も積極的に動きだします。
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原作者コメント・第六話(5)。落ち込んでいる朋を、草加や財津、理沙が励ます感じのシーン、あそこはとてもいいですね。しかしこの期に及んでまだ憎まれ口をたたく理沙。ツンデレですか(笑)。これまでのエピソードがあるので、理沙の心情を想像するのも楽しいですね。
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原作者コメント・第六話(6)。じつは私が警察小説を書くとき一番大事にしているのが、このチーム感です。そして状況をわかりやすく説明するため、捜査会議や打ち合わせのシーンをよく描きます。捜査がどこまで進展したかをまとめるのに、それらのシーンは役立ちます。
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原作者コメント・第六話(7)。ここで原作の話を少々。『警視庁文書捜査官』で矢代は男性です。理沙はドラマよりだいぶおっちょこちょいかも。このふたりと財津係長の三人がチームとなり、事件現場に落ちていたアルファベットカードの謎を調べていきます。
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原作者コメント・第六話(8)。そして原作シリーズ2作目(文庫化は3番目)の『永久囚人』では体育会系の夏目静香が加わり、チームは四名になります。硬派に見える夏目もじつは憎めない性格。もしかしたら彼女のイメージがドラマの朋に反映されているのかもしれません。
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原作者コメント・第六話(9)。また、原作シリーズ3作目の『緋色のシグナル』は、理沙が文書解読班に入る前の物語です。このときの相棒は矢代ではなく国木田という中年の刑事。《品》《蟲》など謎の漢字を追跡しながら犯人に迫ります。
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◆第七話
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原作者コメント・第七話(1)。『未解決の女』は『警視庁文書捜査官』(角川文庫)を原作とした連続ドラマです。第七話のゲストは石黒賢さん、岩城滉一さん、岡田浩暉さん、大谷亮平さんら。最終章ということで話は次週に続きます。このドラマでは初めてのことです。
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原作者コメント・第七話(2)。さて、第七話の見どころとして挙げたいのはアルファベットカードによるメッセージです。今までドラマオリジナルの仕掛けやトリックが描かれていましたが、このカードについては原作『警視庁文書捜査官』のネタを使っていただきました。
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原作者コメント・第七話(3)。キャラクターや部署設定などは原作を下敷きにしていたものの、事件はこれまですべてドラマオリジナルでした。このまま最終回まで行ってしまうかも……と思っていましたが、第七話でカードネタを使っていただけて安心しました。
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原作者コメント・第七話(4)。原作を書くとき、あの文字の組み合わせを考えるのに三日ぐらいかかったかと思います(大変でした)。理沙たちがカードを並べ変える場面で、正解以外の組み合わせもいくつか出てきましたが、あれもほぼ原作どおりです。
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原作者コメント・第七話(5)。とにかく、苦労したアルファベットカードの仕掛けをドラマで使っていただけたのは幸いでした。これで今夜からゆっくり眠れます。スタッフの皆さんどうもありがとうございました。
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原作者コメント・第七話(6)。原作とドラマは別物だという話をよく聞きます。小説には小説の、ドラマにはドラマの表現方法があるのでしょう。今回のドラマ化に当たって、映像のプロの方々が最適な表現方法を考えてくださったのだと思います。本当に感謝しております。
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原作者コメント・第七話(7)。小説とドラマは、物語を表現するという意味では似ていますが、作業工程はまったく別です。撮影現場を見学するとわかりますが、ドラマの場合、緊張感がすごいです。小説は編集者と一対一ですが、ドラマは現場の人数が多いんですよね。
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原作者コメント・第七話(8)。撮影の現場に行くとスタッフさんがたくさんいます。誰がどこの所属でどんな役割なのかなど、全くわかりません。仕事なのでニコニコしている人は誰もおらず(当然ですよね)、見学していても何か申し訳ないという気持ちになってきます。
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原作者コメント・第七話(9)。話がそれました。ドラマの感想に戻ります。今日の第七話をご覧いただくと、非常に密度の高い話だったことがおわかりいただけると思います。原作者としても、今まで見てきたエピソードの中で一番好きな回となりました。
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原作者コメント・第七話(10)。最後の場面には驚かされました。そしてその直前、理沙が何かを感じたようなシーンはよかったですね。小説ではなかなか表現できないものだと思います。俳優さんの動き、音楽等で演出効果を高めることにより、視聴者の感情は揺さぶられます。
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原作者コメント・第七話(11)。非常に気になるところで第七話は終了しました。次週どうなるのか私も楽しみです。もうじきドラマが終わってしまうのはもったいない気もしますが、スケジュールの関係もあるでしょうし、そこは仕方ないですよね。
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◆第八話(最終回)
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原作者コメント・最終回(1)。『未解決の女』は『警視庁文書捜査官』(角川文庫)を原作とした連続ドラマです。最終回のゲストは谷村美月さん、石黒賢さん、岩城滉一さん、岡田浩暉さん、長谷川朝晴さん、大谷亮平さん、梨本謙次郎さんら。物語は第七話の続きです。
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原作者コメント・最終回(2)。第七話で、原作に出てきたアルファベットカードの謎が明かされましたが、第七話から最終回に至るストーリー展開はドラマオリジナルです。原作をすでにお読みいただいた方にも、ドラマを楽しんでいただけたのではないかと思います。
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原作者コメント・最終回(3)。過去に犯罪を起こしたグループが仲間割れする、というのはミステリー作品で多く使われている展開です。こうすると複数の事件を描きやすくなります。また、犯罪者たちが起こす事件なので、シビアな犯行になることが多いかと思います。
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原作者コメント・最終回(4)。第六話までは、普通に暮らしていた人がやむを得ず犯行に走る、という形がいくつか描かれていました。動機に同情の余地がある場合、我々は犯人にも感情移入することがあります。単なる勧善懲悪でなく、物語に深みが出るからかもしれません。
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原作者コメント・最終回(5)。それに比べて第七話と最終回では、現在の事件に関わる人物がすでに犯罪者なので、あらたな事件を起こすことにためらいがありません。これまでのような情に訴えるストーリーではありませんが、その分サスペンス性が強まっていたと思います。
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原作者コメント・最終回(6)。そういうわけで最終章はかなり硬派なストーリーになっていました。私は普段サスペンス成分の濃いミステリー小説を書いているので、第七話から最終回への流れはとても好きでした。原作のアルファベットカードも使ってもらえましたし……。
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原作者コメント・最終回(7)。さて、終盤で事件は思わぬ展開を迎えました。前回理沙が違和感を抱いていた部分ですが、ある文書が改竄されていたことがわかり、それについてとんでもない事実が明らかになります。いよいよ文書捜査官らしい話になってきました。
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原作者コメント・最終回(8)。そして最後、過去の出来事が判明し、組織の論理と個人の正義感、どちらを取るかという話になってきます。ここである人物が男気を見せました。こうして一件落着ということに。
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原作者コメント・最終回(9)。この『未解決の女』、何度かお話ししているとおり原作で矢代は男性でしたが、ドラマで女性に変わりました。結果から見ると、これは正解だったと思います。刑事ドラマで女性同士のバディものはあまり見かけないため、新鮮味がありました。
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原作者コメント・最終回(10)。『未解決の女』は女性刑事のバディものとして、ひとつのマイルストーンになり得るのではないか、という気がします。まだあまり作られていないタイプのコンビ物なので、今後に期待したいと思います。
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原作者コメント・最終回(11)。ドラマは終了しましたが原作のほうはまだまだ続きます。編集さんとお会いして新作を刊行させていただけるようお願いしてきました。詳細が決まりましたらご報告させていただきます。理沙と矢代をこれからもどうぞよろしくお願いいたします。
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原作者コメント・最終回(12)。毎度恐縮ですが宣伝させてください。ドラマ『未解決の女』の原作シリーズは現在三冊あります。『警視庁文書捜査官』『緋色のシグナル』『永久囚人』です。どうぞよろしくお願いいたします。
https://www.kadokawa.co.jp/pr/b2/bunshosousakan/--------------------
原作者コメント・最終回(13)。すみません、もうひとつ宣伝させてください。千葉県船橋市のときわ書房本店さんに『警視庁文書捜査官』などのサイン本があります。通信販売もあるそうですので、どうぞよろしくお願いいたします。
tokiwabooks.com/?page_id=18
tokiwabooks.com/webshop/html/★2019/10/22現在、サイン本の在庫がない場合はまことに申し訳ございません。
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原作者コメント・最終回(14)。ということで毎週感想を書かせていただきましたが、今日で終わりになります。最後までおつきあいくださいましてありがとうございました。いつかまた原作者コメントを書かせていただける日が来ますように……。それでは失礼いたします。
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以上になります。
ちなみに、ほかの回の原作者コメントはこちらです。
・ドラマ 『未解決の女 警視庁文書捜査官』 関連(7) 原作者コメント・第1話
・ドラマ 『未解決の女 警視庁文書捜査官』 関連(8) 原作者コメント・第2、3話
また、この放送のあと、2019年4月28日に続編としてスペシャルドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官~緋色のシグナル~』が放送されました。そちらの原作者コメントはこちらです。
・《現在作成中》
以上、『未解決の女 警視庁文書捜査官』に関する原作者コメントまとめでした。
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