ドラマ『重版出来!』感想(2) 第5話~第6話
麻見和史です。テレビドラマ『重版出来!』の感想の続きです。
以下、Twitterに投稿したものをまとめておきます(一部手直ししています)。
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『重版出来!』第5話見ました。今日は脚本担当さんの力が発揮された回でしたね。社長の回想は原作第1巻にありますが、まだストーリーが安定軌道に入る前だったので、初読のとき少しだけ違和感がありました。ドラマではそれを第5話に移してくれたので、自然に見ることができました。
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本の断裁を取り入れた脚本はとても効果的だったと思います。あのシーンで古い本の終焉が描かれ、その一方で大塚シュート先生の新刊が誕生するという希望も見せてくれたわけですよね。しかし、断裁ってあんなふうに行われるんですか。見ていてつらいものがあります。
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本を保管しておくには広い場所が必要なので、出版社はみな倉庫を持っているようです。この倉庫を維持するにはお金がかかるので、売れない本の在庫はなるべく減らしたい。それで、定期的に断裁処理が行われるわけです。
売れているときに在庫がないと販売の機会ロスになってしまいます。しかし売れるかどうかわからないものを大量に刷るわけにはいきません。それで、本を出すときには初版部数の見極めが大事になってきます。
「この作家ならこれぐらいの部数は売れるだろう」という予測の結果、初版部数が決まります(ドラマでも会議の様子が描かれていましたよね)。ここで、過去の販売データが重視されます。
「前回この作家はこれだけしか売れませんでした」という悪い結果があると、次の部数は前回より減る可能性があります。部数が減るとお客さまの目に触れる機会が少なくなってさらに売れなくなり、次の部数はもっと減ってしまいます。
駆け出し作家の時期にはこうした負のスパイラルに陥ることが多く、私も1冊ごとに初版部数が減っていくのを見て相当焦ったものでした。
ちなみに、四六判単行本と文庫本の初版部数はかなり違います。当然のことながらお値段の安い文庫本のほうがよく売れるので、そちらのほうが部数も多くなるわけです。
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次回はついに、私の好きな「新人ツブシ」安井さんの話ですね。東江(あがりえ)さんと安井さんのエピソードに関してはいろいろ語りたいことがありますので、来週までにメモ帳に書きためておこうと思います。
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『重版出来!』第6話見ました。東江さんとの仕事を見て、あらためて「安井さんは言い方がきついなあ」と思いましたが、それでも彼を認めたいという気持ちは変わりませんでした。つきあいにくい人だけど、成果を挙げているわけですから、やはり優秀なんですよね。
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今回のトラブルの原因は安井さんの怠慢ではなく、芸能事務所が修正要求を出すのが遅かった、ということです。安井さんは無能な編集者ではないので、もし間に合いそうになければ、何らかの方法で東江さんをサポートしたと思うのです。刊行延期だけは絶対避けたかったはずなので。
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第6話で描かれたトラブルですが、ざっくり説明するとこんな内容です。
安井さんという漫画編集者が、映画化の決まっている小説をコミカライズ(漫画化)する、という仕事を取ってきました。彼はネットで見つけたアマチュアの東江さんという女子大生に連絡をとります。
東江さんは、絵はうまいのですがストーリー作りが得意でないため、これを引き受けることにしました。彼女にとってはこの漫画がデビュー作となるわけです。
ところが数話描き上げたところで安井さんから電話が……。
映画の主演女優の所属事務所から要望があり、主人公の女性の髪形を変えることになった、というのです。今まで描いたものをすべて手直ししなければならず、東江さんは動揺します。しかし安井さんは、やってもらわなくては困る、と言って年末年始の休暇に入ってしまう──というストーリーです。
当然、「安井さんはひどい!」という感想が出てくると思います。たしかに安井さんの態度にはちょっと問題がありますが、彼のようなきっちりした人なら事前にデザイン画を提出していたはずです(現に、小説家の先生からはOKが出ていた)。それなのに芸能事務所があとから要望を出してきたため、漫画家にしわ寄せが来てしまったわけです。
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いろいろと態度のよくない人ですが、それでも私が安井さんを評価するのは、彼が新人にきちんと仕事を与えているという点です。まだオリジナル作品をうまく描けない東江さんには、たとえ原作つきであっても、あれは良い仕事であり、良い経験になったのではないかと思います。
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なんといっても、本が出れば東江さんにはお金が入ります。今はコミカライズ専門だとしても、興都館と関係を作っておけば、オリジナルを描くチャンスは出てくると思うのです。これから安井さんを利用してやる! ぐらいの気持ちが東江さんにあれば、状況は変わっていたかもしれません。
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「いやいや、時間をかけてもオリジナル作品で勝負すべきだよ」という意見もあるでしょうが、私は、とにかく本を出し続けて力を伸ばしたほうが良いと考える立場です。いくら優れた作品を出したとしても、それが三年に一度では、新人作家は読者に忘れられてしまいますので。
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出版の世界には、新人の作品を何年も修正させ続ける編集さんがいます。その親心には感謝すべきですが、早く結果を出したい新人にとっては、待ち時間が相当なストレスになります。そう考えると、性格に難はあるものの、安井さんのような編集者も必要ではないかと思えてくるのです。
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でも、もし自分の担当が安井さんみたいな人だったら……。うーん、それはやっぱり嫌かもしれないですね。まあ安井さんも、つきあいの長い作家にはあんな態度をとらないだろうと思いますが。
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