作家の不思議(10) 新規の仕事はどのように受注するのか(前編)
麻見和史です。知人の質問に答える「作家の不思議」シリーズ、第10回です。
以下は麻見の個人的な体験談ですので、これに当て嵌まらないケースも多々あると思います。どうかご了承ください。
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◆不思議その10「新規の仕事はどのように受注するのか」(前編)
一般的には出版社主催の新人賞をいただくなどして作家デビューします。会社によって違うと思いますが「N作目まではうちで書いてくださいね」ですとか、「N年目までは他社で書かないでくださいね」と言われることがあるようです。
私の場合も、賞をいただいた会社からそういうお話がありました。ただ、私がデビューしたのは今から9年も前なので、現在は状況が異なっているかもしれません。
出版社さんにしてみれば、お金と時間をかけて新人作家を選ぶわけですから、一定の期間は自分の会社で書いてもらいたい、ということですよね。私が主催者側であれば、同じように考えるだろうと思います。
作家のほうも、デビューさせてくれた会社はいわば生みの親ですから、できるだけ恩返ししたいと考えるはず。まあ実際にはデビュー後すぐにヒットを飛ばせる可能性は少ないので、原稿指導をしてもらえるとか、N作目までは出してもらえるという、作家側のメリットのほうが大きいかもしれません。
デビュー元で数冊刊行すると、今度は他社でお仕事したいなと思うようになります。単純に収入を増やしたいから、という理由もありますが、それ以上に重要なのは、人との出会いです。
会社が変わると編集者さんの考え方も変わるので、「こういうのを書いたら面白いんじゃないですか?」と思いがけないアドバイスをもらえることがあり、それがきっかけでブレイクする作家さんもいます。
では、作家は新規の仕事をどのように受注するのでしょうか。
一般的な例として、営業マンのケースと比較してみます。パターンとしては、
(1)飛び込み営業をかける
(2)知人などの紹介で、他社ユーザーに商品を提案する
(3)自社ユーザーにリプレース提案をする
(4)ウェブサイトからの問い合わせを待つ
の4種類でしょう。これを作家の場合で考えてみます。
まず(1)ですが、飛び込み営業は成功率が非常に低いと思われます。まったく縁のない会社にいきなり電話をかけたり、手紙を送ったりしても相手にされず、「新人賞に応募してください」となることが多いようです。編集者さんの仕事は忙しいので、それも仕方のないことだと思います。
比較的成功率が高いのは(2)で、その会社で書いている先生から編集者さんを紹介してもらい、プロットや原稿を見てもらって打ち合わせに入る、という形になります。これは、うまくいけば出版に漕ぎ着けることができます。
ただ、うまくいかなかった場合、仲介してくださった先生の顔に泥を塗ることになりかねないので、やるのであれば不退転の決意で、何度でも改稿するぞという覚悟が必要ではないかと思います。
一番成功率が高いのは(3)で、これは今まで取引したことのある出版社さんと、新作の打ち合わせをするというものです。お互い相手の癖もわかっているので、仕事はしやすいと言えます。シリーズもので刊行しているのなら、話はよりスムーズです。
最後の(4)は上記(1)~(3)とは違って、お客さまのほうから問い合わせてくれるというケース。作家の場合でいうと、ウェブサイトの連絡先を見て出版社さんがメールをくれるというものです。割合は少ないと思いますが、私もそのようにして問い合わせをいただいたことがありました。
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ここまでが一般的なやり方ですが、じつはもうひとつ、出版業界ならではの新規受注方法があります。それは……。
と、いいところで今回は終了(すみません)。この続きは明日書きますので、少々お待ちください。
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