ドラマ『石の繭』(21) 塔子とトレミー
麻見和史です。ドラマ『石の繭』の放送は終了しましたが、現在WOWOWさんのメンバーズオンデマンド(加入者向けサービス)で全5話を配信中です。詳細はこちら をご覧ください。配信期間は9/26までです。
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ドラマ『石の繭』について、知り合いの方からいろいろ感想をいただいております。どうもありがとうございます。今回、私は原作者という立場でしたので、わりあい楽な気持ちで番組を見ることができました。
お寄せいただいた感想はどれも参考になりましたが、中でも「これは予想外。でも言われてみればそのとおり」と膝を打ったものがありました。映画ライターをやっていらっしゃる、皆川ちかさんが送ってくださった感想です。皆川さんは原作を読んだ上でドラマを視聴してくださったとのこと。
ご本人に許可をいただきましたので、以下その内容をご紹介します。ネタバレを避けるため少しわかりにくい書き方をしていますが、ご了承ください。
皆川さんによると、このドラマは主人公・如月塔子のいっぱいいっぱいな状態を描いたものであり、その意味では主演女優さんの演技はよく合っていて、全体として面白いものに仕上がっているのではないか、ということでした。
今回塔子を演じてくださった女優さんは、自身の主演作としてはまだ二本目です。それが新米の塔子と重なって見えて、好感が持てたそうです。
そしてもう一点。これをうかがって目からうろこが落ちる思いでした。
皆川さんいわく、塔子とトレミーはキャラクターとして合わせ鏡のようなものである、と。塔子は父を亡くして警察官になり、トレミーもまた肉親を亡くして犯罪者となった。そのふたりが電話で言葉を交わす場面には濃密な空気があって、少し見方を変えれば、彼らは恋人同士のようでもある、と。
そういう見方があるとは思わなかったので、とても驚きました。でも、言われてみれば、たしかにふたりの境遇には似ているところがあり、トレミー自身もそれを意識していた可能性があります。
普段、男性である私はストーリーばかり気にしています。たまにキャラクターに目が行ったとしても、「この子、面白いなあ」とか「これはかっこいい台詞だよね」とか、そんな見方しかできないのですが、皆川さんはキャラクターのバックボーンにまで目を配っていらっしゃったわけです。女性の方の視点はすごい、と感じました。
しかしそこで、こんなことも思いました。今回の監督さんは男性なのですよね。私と同じようにストーリーを中心にドラマを組み立てているのではないでしょうか。そうであれば、塔子とトレミーの間に濃密な空気があるというのは、皆川さんの深読みだという可能性も……。
そう思っていたところ、最終話を見てびっくりしました。私の予想は外れ、皆川さんの大勝利と言える展開が待っていたのです。
ネタバレ回避のため詳しくは書けませんが、終盤のあるシーンで、はっと息を呑むような演出が行われていました。あのように描いたということは、監督は両者の関係を特別なものとして捉えていたのでしょう。
監督もすごいと思いますし、それを感じ取っていた皆川さんも鋭い、と感じました。感服いたしました。
人によっていろいろな解釈の仕方があるとわかって、とても勉強になりました。
特に女性読者の方々を、男性である私が今後どう意識していけばいいのか、そして作品を少し変えていくとしたらどんな形で取り組めばいいのか。この先の課題が見えてきたような気がします。
今回、皆川ちかさんには貴重なご感想をいただきました。どうもありがとうございました。
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以下、宣伝です。WOWOWドラマの原作本『石の繭 警視庁殺人分析班』の紹介ページ(講談社サイト)はこちら にあります。
現在、〈警視庁殺人分析班〉シリーズは講談社文庫から4作、講談社ノベルスから2作、計6作発売されています。どうぞよろしくお願いいたします。
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