『石の繭』は『廃屋のトレミー』だった?
麻見和史です。WOWOWドラマ『石の繭』の放送開始日が近づいてきました。8/16スタート、全5話となりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
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先日、文書ファイルを整理していたら、『石の繭』執筆当時のデータが出てきました。2011年のものですが、初めての警察小説だったのでいろいろ苦労した跡がうかがえます。
特に興味深かったのが、タイトルについてです。今『石の繭』を検索するとたくさんのウェブサイトがヒットしますが、じつは、まったく違うタイトルになっていた可能性もありました。
当時考えたタイトル案からいくつか抜き出してみると……。
『廃屋のトレミー』
トレミーという語感が好きだったので、まずこれを検討。『暗闇のトレミー』
これもトレミーを使った案。『トレミー・オンライン』
トレミーという人物が電話をかけてくるので。
ここまで考えたのですが、カタカナを使うと印象が軽くなってしまうかもしれないと思い、漢字のタイトルを考えました。
『錯綜回線』
電話回線のこと。トレミーからの電話で捜査が錯綜する感じ。ちょっとわかりにくい。『死者の繭』
ストレートに言えばこうなのですが、タイトルに「死者」と入れるのは抵抗があったので却下。『廃屋の繭』
この「繭」は難しい字ですが、怪しい雰囲気があるので、なんとか活かせないかと検討を続けることに。
というわけでいくつか『■の繭』(■は漢字)というものを考えていったのですが、なかなかいいものが出ず、困ってしまいました。
じつはこのとき「石」という言葉もメモしてあったのですが、リズムとしては「◆◆◆のまゆ」か「◆◆◆◆のまゆ」がいいと考えていたので「◆◆のまゆ」という発想はなかったのです。
うんうん唸っているうち(たぶん3日ぐらい考えていた)、自分ではよくわからなくなってしまって家人に相談したところ、
「『石の繭』でいいんじゃないの?」
と言われ、最初は少し物足りなく感じたものの、内容からするとそれが一番合っていると思い、編集担当氏に提案しました。
のちに無事OKが出て、『石の繭 警視庁捜査一課十一係』というタイトルが決定しました。サブタイトルは担当氏のアイデアです。
1作目が『石の繭』だったため、その後もタイトルには「の」を付け、『蟻の階段』『水晶の鼓動』……というふうに「の」で縛ることになりました。今後も『~の~』というスタイルは変わりません。
文庫本では『石の繭 警視庁殺人分析班』としましたが、これにはふたつ理由があります。ひとつは「チーム感を出すため」。もうひとつは意外に思われるかもしれませんが「文庫は表紙のスペースに限りがあるから」です。
もともと文庫本は小さいものなので、長いサブタイトルにすると表紙が見づらくなってしまいます。それで8文字ぐらいに収められないかということになり、このサブタイトルに変更したというわけです。
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