『ヴェサリウスの柩』(文庫版)関連(3) 執筆当時のこと
麻見和史です。5月30日に『ヴェサリウスの柩』文庫版が発売となりました。
ご覧のとおり、オビは黒です。作品の妖しい雰囲気によく合っています。
以下、オビの惹句から。
解剖中に遺体から摘出された一本のチューブ。
そこには教授に対する謎の告発文が……
若き女性助手が、前代未聞の事件に挑む!
巻末の解説は、三橋曉さんが書いてくださいました。ありがとうございました。
解説の中に、「『ヴェサリウスの柩』は、鮎川哲也賞史上初の医学・医療ミステリだったのである」という一文があり、そういえばたしかに……と思いました。
この話は「解剖実習用のご遺体から謎のチューブが出てくる」という着想を得て書き始めたものでした。そこから事件を展開させるには医学生たちを描くのが自然だったため、舞台は大学の解剖学教室となりました。
作中では東都大学となっていますが、モデルは東京大学本郷キャンパスです。執筆に当たっては、関連書籍を調べると同時に、東大に出かけて構内を見て回りました。
(ただし作品内容はすべてフィクションであり、東京大学およびその職員、学生の方々とは一切関係ありません)
最初は「天下の東京大学に自分のような人間が入っていいのだろうか」と不安に思いましたが、特別なチェックもなく、普通に立ち入ることができました。作中にもありますが、構内には犬を散歩させている近所の人などもいて、じつにのんびりした雰囲気です。
何回か訪問するうちだんだん図々しくなってきて、夏の夜には学食でビールを飲んだりもしました。なつかしい……。
シンポジウムなどに参加するようになったのも、東大に出入りしたことがきっかけです。
刊行後のことですが、2010年に「医療における病理解剖」というシンポジウムがあり、初めて医学部本館に入ることができました。
作中のシーンはどれも想像で書いたものでしたが、廊下の感じなどは思っていたとおりで、非常に感動したことを覚えています。
最近サボり気味なので、時間を作ってまたセミナー、シンポジウムなどに参加したいと思っています。
東大の駒場キャンパスでは、高校生向けの金曜特別講座というものがあって、難しいことをわかりやすく説明してくれます。これは一般人も参加可能です。ずいぶん前に一度行ったきりですが、近々また出かけようかと考えています。
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