第15回国際電子出版EXPO(3) ボイジャー社セミナー
麻見和史です。7月9日に東京ビッグサイトで第15回国際電子出版EXPOを見学した際、セミナーを受講してきました。
*
株式会社ボイジャーの「電子出版─知らないなんて手遅れだ」を受講した。場所は西ホールの中二階。定員を超える参加者が集まったそうで、危ないところだった。早めに並んでおいてよかった。
これから会場に向かうところ。
遠くに見える中二階の通路(EXPO看板下の暗がり)には、すでにかなりの人数が並んでいる。
ボイジャーは電子書籍のフォーマットである「.book」(ドットブック)を開発した会社。古くから電子出版を手がけ、青空文庫の閲覧用に「azur」 (アジュール)というビューアも作っている。自社サイトではこのビューアや電子書籍の販売なども行っている。
以下、概要のメモである(勘違い、聞き違いがあったらすみません)。
・電子出版は大手出版社のためのものではなく、「私」のための出版であるべき。
・現在電子書籍の端末、書店、フォーマットが非常に多い。これは問題。過去、アップル社のPCを使って電子書籍が作られたが、ハードが変わったために閲覧できなくなってしまった例がある。
・電子書籍が、販売サイトごとに管理されていて一覧できないのは不便。自分で買った本なのに。
・縦書き、ルビ付き、右から左へ進むという日本語の書き方は、世界でもかなり特殊。シャープはXMDF、ボイジャーは.bookという電子書籍フォーマットを開発し、長らく競争を続けてきた。しかし今、両者の統合方法を模索しているところ。
・なぜかというと、今後状況が大きく変わる可能性があるから。今、EPUB3という電子書籍の国際標準フォーマットを策定中で、いずれこれが日本でも標準規格になると予想される。もしかしたら、来年のこのイベントの出展社は半分ぐらいに減っているかもしれない(今はドーマット乱立により、多くの会社が出展している)。
・EPUBはXHTMLベースのフォーマットである。このことから、今後の読書エンジンはブラウザにシフトするだろう。アプリに合わせて作り込む時代ではなくなる。
・EPUBではブラウザサイズを変更するとき、表示が調整される「リフロー」が行われる。
日本語表記の特殊性が、標準化を難しくしていたということだ。たしかに、欧米発のソフトウェアでは過去、いろいろと苦労したことを思い出す。Wordでルビを付けたら行間がおかしくなってしまった、とかですね。
なかなか標準規格が出来なかったせいで、シャープのXMDFやボイジャーの.bookなど、多くのフォーマットが作られたのだろう。
デモを見せてもらったが、ブラウザサイズを変更したときのリフローは、文字組にこだわる人には抵抗がありそう。文章の表示領域を変えることで、段落や改行位置が変わってしまうのである。京極夏彦先生がご覧になったら、なんとおっしゃることか……。
ボイジャー社・萩野社長によると、長らく自分たちは独自の努力を続けてきた。それが昨年、2010年になって「電子書籍元年」などと言われ、急に世間が騒ぎだした。何を今さら、という感じなのだそうだ。
では、萩野社長が考える電子出版のあり方とは、どんなものなのだろう。
(つづく)
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