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2011年3月24日 (木)

『石の繭 警視庁捜査一課十一係』関連(1) 警察小説のこと

 麻見和史です。ついに新作が出ます。

 講談社さんの刊行予定(5月分)に掲載されたので、当ブログでもPRさせていただきます。講談社ノベルスから『石の繭 警視庁捜査一課十一係』が発売されることになりました。5月9日ごろ店頭に並ぶようです。
 現在、ゲラ刷りのチェック段階であります。

 じつは講談社ウェブサイトの「『あの本』ただいま進行中!」というコーナーでは、『石の繭』と紹介されておりました。のちに「この際ですから、こう、捜査一課を前面に押し出してですね……」という編集氏のアドバイスにより、サブタイトルを付けました。ベタですが、でもこれで警察小説だということがはっきりわかります。何事においても、わかりやすいのは良いことです。

 ところで、なぜ警察小説なのか。これについてはいずれ詳しくお話しする機会があると思いますが、ひとことで言うと、今、社会的な不安がとても大きくなっていると感じるからです。
 景気の低迷、少子高齢化、急速なネット通信技術の進歩などで、ものの価値観が変わりつつあります。今まで考えられなかったような新手の犯罪が発生し、また動機の説明がつかない不可解な殺人事件なども起きています。現実的な対応は担当部局にゆだねるとして、小説を書く立場からは何ができるか。

 まずは、揺らぐことのない正義を描くことではないか、と考えました。刑事たちが複雑怪奇な事件を解決することで、安定した状態が保たれ、平和が維持される。作り物であったとしても、そうした問題解決のモデルを示すことで、読んでくださる方の気持ちが、すっきりするのではないかと思うのです。
 警察官というと、高圧的だとか隠蔽体質があるとか、よくないイメージで語られることが少なくありません。しかし大部分の警官は、秩序を守るために日夜努力していると信じたい。少なくとも創作物の中では、ヒーローとして活躍してほしいという気持ちがあります。
 私が書くのはエンターテインメント作品ですから、やはり最後は気持ちよく終わらせたいと思っています。警察官というキャラクターを使い、難事件を解決することで、それは実現できる。こういう時代だからこそ、わかりやすい「正義の味方」を登場させ、正しいものは正しい、悪いものは悪いとはっきり言わせたい。これが、麻見和史が警察小説を書く理由です。

 でも麻見和史って鮎川賞作家でしょう、という声が聞こえてきそうですが(鮎川賞は本格ミステリーの新人賞。一般に本格ミステリーの世界では、刑事が情報を与え、探偵が事件を解決することが多い)、そこは本人も意識しています。
 本作、器は警察小説ですが、中身には工夫をこらしてあります。探偵を登場させることなく、刑事が頑張って謎解きをします。サスペンスあり、アクションあり、また詳しくは言えませんがほかにもいろいろあります。
 今持っている技術を総動員して書き上げた作品です。発売されましたら、ぜひご一読いただきたいと思います。

 発売までまだ日数がありますので、次回以降、作品の内容を少しご紹介したいと考えています。

(本来ならば社会不安の要素として、東日本大震災とその後の復興問題も含まれるべきですが、この文章では触れておりません。被災地の方々にはお見舞い申し上げます)

[『石の繭 警視庁捜査一課十一係』関連 目次]

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