麻見和史です。6月6日にアニメ映画『宇宙ショーへようこそ』の試写会へ行ってきました。場所は半蔵門のTOKYO FM HALL。以下、感想を少々。
この作品は、美術を楽しむ映画だと感じた。とにかく背景の描き込みがすごくて、スロー再生しないと視認できないような密度なのだ。アニメーターの方々の苦労がしのばれます。終盤は徹夜だったんだろうなあ、と。
山村の小学生が、夏休み、学校で合宿生活を楽しんでいる。そこへ傷ついた宇宙人が現れた。看病してくれたお礼に、彼は子供たちを宇宙に連れていってくれるのだが、そこで思わぬ問題が発生、地球へ戻れなくなってしまう……というストーリー。
水に浮かぶ都市、銀河鉄道を思わせる列車などが非常に魅力的である。アクションやサスペンスに加え、教育的要素も充分。残酷なシーンがないから、小さい子も安心して鑑賞できる。今の時代、このタイプのアニメ映画は貴重だろう。
主人公の女の子・夏紀が、なぜヒーローにあこがれるかというところに、フォローがあるとよかったような気がする。おてんば娘だということを手っ取り早く説明しているわけだが、何かエピソードを入れてもらえると嬉しかった。
恋愛要素は皆無なのだが、リーダー格の男の子・清との間に心のふれあいがあっても面白かったと思います。
上映時間について。うーんすみません、2時間16分はちょっと長いかなあと感じました。刈り取って、テンポよく進めてほしいところがいくつかあった。1時間54分ぐらいにまとめてもらえたらよかったのでは。いや、数字に根拠はありませんが。
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以下は、あまり愉快な話ではないので、忙しい方は読み飛ばしてください。
じつは今日の試写会、会場スタッフの対応がまずく、映画を楽しみにしていたお客さんを失望させた面があった。批判するつもりは毛頭ありませんが、しかしもうちょっとうまくできたはずで、その場にいた者としては非常に残念である。
当方は13時15分ぐらいに列に並んだ。13時半開場、列が進みだした。このホールは初めてで、床がフラットで椅子を並べるタイプだと知り、驚いた。しかも横長。まあスクリーンは高い位置にあるので大丈夫だろう。一番落ち着く最後列、隅のほうに腰を下ろした。
会場風景。このときはまだ空席がたくさんあったのだが……。
どんどんお客が入ってきて、やがてほぼ満席になった。しかしまだ会場に入りきれない人がいる。どうやら当選ハガキを出しすぎたらしい。
このまま立ち見させるのかと思ったら、一番前に仮設列を作ることになったようだ。
席が出来たところで、アナウンスがあった。
仮設列にあらたな客を入れると、旧一列目に座っていたお客が不満を漏らすと思ったのだろう。こういう対策が打たれた。旧一列目に座っていたお客のうち、希望者を仮設列に移らせるというものである。
それが終わってやっと、立っていたお客が、仮設列もしくは旧一列目に誘導された。だが、まだ行き場の決まらないお客が残っている。
あとは空いている席をつぶしていくしかない。旧二列目以降で空いている場所をスタッフが見つけ、ひとりずつ誘導することになった。ところがこの誘導がまた遅い。時間がないのだし、とにかく、
「あそこ空いてますからどうぞ!」
と指定してしまえばいいのに、あの席でどうでしょうなどと訊いている様子だ。
上映開始予定の14時を過ぎたがまだやっている。
空いた席がなくなったところで、ついに残りのお客さんに宣告があった。すみませんが立ち見でお願いします、と。
さすがにこれには、あきれて帰ってしまう人が出た。どう見ても20分以上前から全員を着席させることができないのはわかっていたのだから、
「やってみたけど駄目でした」
では怒る人が出てもおかしくない。現在どういう状況になっているか、ほとんどアナウンスされないのもまずい。
というかそれ以前に、試写会は早い者勝ち、席は自分で確保してくださいというのが普通である。下手に誘導を始めてしまったのが裏目に出たのでは。
しかし幸いトラブルにはならなかったようで、みんな紳士的だなあと思った。
立ち見でもいいという人は40人ぐらいいた。ここで困ったのは、小学生の子を連れて立ち見をする親御さんが複数いたことである。
非常に気の毒だとは思うのだが、自分ひとり、席を譲るわけにもいかない。
「その子には譲って、なんでうちの子には譲らないのか」
と思われる可能性があるからだ。かわいそうだが、試写会は早い者勝ちなのだということを、今日は覚えていってもらうしかない。恨むなら主催者や会場スタッフを……。
さて、お客はもう待機状態に入ったというのに、どうしたことか、上映がなかなか始まらないのである。
結局始まったのは14時14分。手際が悪いと言わざるを得ない。
あーなんかこの分じゃ映画の途中で音が止まったりしそうだなあ、と思っていたら、案の定、映像が途切れるトラブルが一回あった。どうなんですかこういうの。
試写会だからうるさいこと言わないでくれという気持ちはあるかもしれない。でも、かつて私が出かけた試写会で、ここまで段取りの悪い例は見たことがない。ほかの会場では、みんなちゃんとやっているのである。
一連のスタッフの対応のまずさで、
「あーもう『宇宙ショー』には、まいったよ」
などという感想が、ブログやツイッターに上がったら大変ではないか(上げてるけど)。
主催者がかなりの費用をかけて試写会を開くのは、口コミなどで映画の前評判を高めるためである。もしお客がマイナスの感想を持って帰るなどということになったら、まったくの逆効果だ。
試写会での不手際は、巡り巡って「宇宙ショーへようこそ」製作委員会や映画配給会社に、不利益をもたらすことになりはしないか。業務を受託している会場スタッフの責任は重大なのである──って、ちょっと話が大きくなりすぎですか。
以上、ごちゃごちゃ書きましたが、もちろん悪意があってのことではありません。今後の改善に役立てていただければと。
でも、よく考えてみれば、あれだけの人数を当選させてしまったのは、会場スタッフではないんですよね。あの人たちも、予想外の出来事に困ってしまったのだとは思います。
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