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2009年4月 3日 (金)

『軍艦島─眠りのなかの覚醒』

 麻見和史です。春休み特別企画、廃墟特集その4。

『軍艦島─眠りのなかの覚醒』 雑賀雄二 淡交社

画像

 世界遺産への登録運動などもあって、一般の知名度が上がってきた軍艦島。外観が軍艦に似ているためそう呼ばれるようになったが、本来の名称は端島(はしま)である。
 三菱が炭坑を経営し、島内には多くの労働者とその家族が住んだ。1974年に閉山されてからは島そのものが巨大な廃墟と化し、廃墟探検家のあこがれの場所となっている。

 本書の写真はすべてモノクロだが、それが抜群の効果を発揮している。
 常々考えていたことだが、モノクロ写真の良さは、汚れを感じさせないことだろう。実際に廃墟に出かけてみれば、ゴミだらけだったり何かの死骸や腐敗物が散乱していたりするわけだが、白と黒で描写するとそれが奇妙に美しくなるのである。色の氾濫する時代にあって、モノクロ写真は単に懐古趣味を助けるだけでなく、人の想像力を刺激するきわめて上品な表現方法になっているのだと思う。

 高低差の大きい土地にアパートや商業施設を建てているため、あちこちに階段がある。その朽ち果て具合がとてもいい。
 見取り図・断面図や、住民が島を去る日のルポルタージュなども載っていて、大変資料価値の高い1冊である。

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