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2009年3月25日 (水)

『廃墟漂流』

 麻見和史です。春休み特別企画、廃墟特集その1です。

『廃墟漂流』 小林伸一郎 マガジンハウス

画像

 廃墟に惹かれる人は少なくない。
 世の中には廃墟探検を趣味とする方がいて、ネットで検索するとそういうサイトがいくつか見つかる。他人の敷地に忍び込むことは厳密には不法侵入となるのだろうが、中で写真を撮ったりしているうち、自殺と思われるご遺体を発見することもあるそうだ。行方不明者の捜索に協力していると言えないこともないのである。

『廃墟漂流』は力作で、全国各地、多数の廃墟を写真で紹介してくれている。
 工場や炭坑で、遺棄された機械部品に植物がまとわりつくさまは奇妙に美しい。ホテル・レジャー施設の跡地を見るとなんだか哀れを感じる。しかし一番印象に残るのは閉鎖された病院だ。うち捨てられた機材、ベッド、薬品類。残された手書きの文字。この禍々しさは並大抵ではない。

 ボリュームもあり、廃墟の魅力を存分に伝えてくれる写真集である(ご遺体の写真は載っていません。念のため)。

★追記
 写真家の丸田祥三さんが、自分の廃墟写真を模倣されたとして小林伸一郎さんを提訴していたとのこと。
 有名な廃墟というのは多くの人に知られており、それを撮影しようとしてもっともよいアングルを探すなら、似た写真になることは普通に考えられる。しかし、最初にその場所を撮影したのは自分だと主張したい丸田さんの気持ちもわかる気がする。裁判所の判断が気になるところである。

★追記2(2010/12/21)
 約630万円の損害賠償と販売差し止めを求めていた裁判で、丸田さんは敗訴。「被写体の選択はアイデアであって表現自体ではない」との判断。

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