医療人類学の最前線Ⅰ:遺伝、神託、バイオテクノロジー
麻見和史です。今日は 慶應義塾大学グローバルCOEプログラム 論理と感性の先端的教育研究拠点 哲学・文化人類学グループ公開シンポジウム『医療人類学の最前線Ⅰ:遺伝、神託、バイオテクノロジー』に出席してきました。
会場の東館8階のホールに入ったところ、東大・福武ホールよりもさらに横長だったので驚いた。スクリーンは中央に大きいものがひとつ、左右にもそれぞれ小さいものが設けられているが、端のほうに行ってしまうと明らかに見にくくなる。それで中央寄りのブロックに席をとった。椅子がやけに豪華で、重役会議に使われるようなタイプだったのだが、若干座りにくいような気が……。
さて、今日の講義はどんなものかと、あらためてチラシを見てみる。
北米・医療人類学の第一人者であり、日本でも『脳死と臓器移植の医療人類学』、『更年期:日本女性が語るローカル・バイオロジー』、『都市文化と東洋医学』等の著書で知られるマーガレット・ロック先生をお迎えします。ロック先生に、遺伝、老い、リスクについてお話いただき、生命倫理・行動遺伝学の先生方に、最新の知見をご紹介いただきます。
医療人類学という言葉を聞くのは初めてだ。これは期待が高まります。
やがて右隣の席に誰かが腰を下ろした。見れば外国人の女性である。前の席にも彼女の知人らしい外国の方が二名座ったので、大変緊張する。
あとでわかったのだが、すぐ前に座った女性は講演者マーガレット・ロック先生その人だった。マッギル大学で医療人類学を教えている方らしい。
いよいよロック先生の講演が始まった。だがこのとき、当方は大変な勘違いをしていたことに気づいた。なんてことだ、この講演には通訳がついていなかったのである。
以前慶應大学でシンポジウムに参加したときには通訳があった。東大でも、通訳がつかない場合はそのむね注意書きされているのが普通なので、そういうイベントには参加しないよう気をつけていたのだ。
では今回のチラシはと見ると、通訳については何も書かれていないのだった。「どなたでも参加できます」とあるわりには、ハードルが高いではありませんか。
こちらが勝手に勘違いしたのだから文句は言えないが、一言チラシにそう書いておいてくれれば親切だったと思います。
結局、ちんぷんかんぷんなまま1時間が過ぎていった。途中、隣の外国人女性がくすくす笑う場面があったので「ここは笑うところなのか」と、周囲に合わせ、曖昧な笑みを浮かべたりした私である。惨敗です。
ふたつ目の講演は日本語だったので助かった。東大で生命倫理を教える米本昌平先生の「科学革命としてのヒトゲノム計画とその後の日本、ながはまプロジェクトを例に」というもの。
20世紀の遺伝学と21世紀のゲノム研究は手法が大きく異なる。21世紀は、コンピューターを使った統計的な研究が中心となっており、データを見ていって何か発見があれば、それで論文が1本書けてしまうらしい。
ヨーロッパ、特にフランスでは遺伝情報は社会で共有するものという考え方があるそうだ。フランスは生命倫理法の改正により、肉体の処分権は個人にはない、とした。だがアメリカではプライバシー重視の声が強く、研究にもいろいろ制約がある。そうした中、発展途上国では早く成果を上げたいという焦りから、いささか強引な研究が行なわれる可能性があって、そこが心配だという。
滋賀県長浜市では「ながはまルール」によって、住民のバイオバンクが作られたとのこと。詳細は説明されなかったが、調べてみると面白いかもしれない。
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